運送保険とは？保険料の相場と仕組み、払えない際に利用できるローン

顧客の荷物を運ぶのが運送業者の仕事です。目的地に送り届けるまで、顧客から受け取った荷物は丁重に扱わなければなりません。 しかし、輸送中・保管中の予期せぬトラブルの発生により荷物を傷つけてしまうこともあります。

運送を仕事とする事業者として、そうしたリスクに対して備えておくことも大切です。

物品を治すことは難しいため、通常は弁償・賠償で対応することになります。 このようなケースに備えてあらかじめ加入しておきたいのが、運送保険です。

こちらでは、運送保険の基礎知識や保険料が支払えない場合の対策について説明します。

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運送保険の基礎知識

まずは、運送保険に関して正しく理解するのが大切です。運送業を行う個人や法人に向けて、運送保険の基礎知識についてお話しします。

運送保険とは？

運送保険とは、運送業者が加入する保険のことです。 正式名称は「運送業者貨物賠償責任保険」というほか、貨物保険とも呼ばれます。

運送中の荷物に損害を与えてしまった場合に、損害額を補償するための保険です。 荷主から引き受けた荷物に損害が生じた場合、契約上・法律上の賠償責任を一定期間保険会社が補償します。

基本的に、顧客から受託した商品の衝突などで傷つけてしまったとしても、その物品を壊れる前の状態にして返すことは困難です。 そのため、通常は運送保険を利用して、現金で解決することになります。

運送保険は、運送業者が入るべきとされている保険のひとつです。 このほかにも、運送会社が入るべき保険として自賠責保険と任意保険が挙げられます。

自賠責保険は、自動車事故を起こした場合の対人賠償保険であり、自動車を運転する場合は加入必須です。任意保険は、自動車事故において、自賠責保険だけでは補償できない範囲をカバーする保険です。

運送保険には、荷主から荷物を預かって輸送・保管する運送人、運送人に運送を依頼する荷主、そして損害保険会社が関与します。 運送人、もしくは荷主が運送保険に加入していた場合、事故が起きた際の保険金を荷主が保険会社に請求できるようになります。

輸送用車両の特定が不要な「売上高包括契約」、すべての輸送車両を対象とする「全車両包括契約」、補償が必要な車両を特別に指定する「特定車両契約」などがあります。 また、運送保険は原則として日本国内の輸送貨物が対象です。

運送保険に加入しない場合のリスク

運送業者が荷物に損害を与えた場合、運送保険未加入だと、荷主、もしくは元請けの運送会社などに対して、全額損害賠償を行う必要があります。

運送保険に加入している場合、この賠償が保険でカバーされます。軽貨物車はサイズが小さくても高額な荷物を運ぶ可能性があるため、運送保険に加入しておくことは重要です。

ただし、運送保険での賠償額には上限があります。また、骨董品や美術品、宝石といった非常に価値が高い品物や貴重な財産などは、運送会社だけがリスクを負うのは困難だと考えられています。 そのため、運送保険の上限を超える補償額を荷主が希望する場合は、荷主側が自ら別途保険に加入します。

運送保険の保険料の相場と仕組み

運送保険ではどの程度の保険料がかかるのか、そして、どのように保険料が決まるか。運送保険の保険料相場と仕組みについてご案内します。

運送保険の保険料の相場

運送保険の保険料は、年間で20万～50万円ほどが相場です。細かな保険料設定は引受保険会社によって異なります。 保険契約を締結する前に、詳細・約款を損害保険会社や取扱代理店に確認しておいてください。

運送保険の保険料の仕組み

運送保険の保険料は、いくつかの条件によって変わります。保険料が決まる仕組みについて解説します。

• 補償範囲で変わる

運送保険では、補償を受けたい範囲に合わせて契約の内容が異なってきます。 保険会社にとっては、補償の範囲が広くなるほど保険金を支払うリスクが高まるため、保険料は保証範囲が広くなるほど高くなっていきます。

例として、運送中の事故以外や荷物の弁償以外に補償範囲を広げることも可能です。

この場合、荷主以外の第三者に与えた損害の弁償、後片付けの費用、別の運送車両を手配する費用などが補償されます。 補償範囲を広げるほどさまざまな事態が対象となり運送会社にとっては安心につながりますが、反面、保険料のコストが増加するため注意が必要です。 適切な補償範囲の契約を選んでください。多くの保険会社がホームページ上でPDF形式の約款を掲載しています。

• 支払限度額で変わる

支払限度額とは、保険金として支払われる金額の上限のことです。上述したとおり、運送保険では補償の上限が決められており、賠償責任が生じた場合もその金額以上は補償されません。 支払限度額が低いほど保険会社側のリスクも小さくなるため、保険料も安くなります。

運送保険では、自己負担とする金額（免責金額）を設定することも可能です。免責金額が高くなるほど保険料は安くなります。

保険料を払えない場合に利用できるローン

運送保険に未加入の状態で運送業務を行うのは非常に危険です。保険料の支払いが難しい場合もローンを利用して資金を用意し、加入してください。

多目的ローン（フリーローン）やカードローン

多目的ローン（フリーローン）やカードローンは、使用用途が自由なローンです。 そのため、運送保険の保険料支払いにも利用できます。多目的ローン（フリーローン）は銀行、カードローンはクレジットカード会社が運営しているサービスです。

カードローンのほうが審査基準は甘く利用しやすいメリットがありますが、その反面金利は高くなっています。いずれも、各社に申し込みが必要です。

個人融資のマッチングサービス

金融機関と資金を必要としている個人をネット上で結びつける新しいローンの仕組みが、個人融資のマッチングサービスです。

基本情報や、借り入れの希望額などを登録しておくと、その情報を見た金融機関から連絡がきます。 その後、金融機関からローンの融資プランが提案され、条件に合えば申し込んで審査を受けることになります。

従来のローンと比べてメリットがあり、運送保険の保険料が支払えない場合など、確実に資金が欲しい状況ではおすすめです。

ひとつのメリットとして、信用情報を保護できる点が挙げられます。ローンの審査では、例外なく申込者の信用情報が参照されます。 信用情報にはローンの申し込み履歴も記録され、短期間に連続してローンの申し込みを連続して行うと、審査に落ちやすくなってしまうのです。

一方、こちらのマッチングサービスであれば問い合わせをすることなく、複数の業者に申し込む形になるため、信用情報を傷つけずに済みます。

また、融資の成功率が高い点もポイントです。すでに金融機関が情報を確認したうえで融資プランをオファーしていることに起因します。

運送保険に加入し運送業務の賠償リスクを軽減

運送保険の概要や重要性についてお話ししました。運送業務の最中には、偶然の事故の結果としてどんなトラブルが起こるか不明です。 運転中や携行中に荷物や商品を誤って傷つけてしまった場合に備えて、運送保険の加入は必須といえます。

そのため、保険料は削減できないコストと考えてください。運送保険に加入している事実は、依頼する顧客にとっても安心感につながります。 保険料は高く、さらにリスクを軽減するためには、保険料が高く補償内容が充実している契約を選ぶ必要がありますが、運送業者としては費用をかけてでも安心を重視するべきです。

どうしても保険料の支払いが難しい場合は、ローンの利用を検討してください。